2019年7月4日木曜日

炭酸ガスと微生物 過ぎたるはなお及ばざるがごとし(1)










どんよりとした曇り空の下、農園の縁に立つと、

梅雨の雨は、わずか3日で

畑の様相を一変させることが分かります。

中でも、無肥料・無農薬の土壌で10年間、

種イモの自家採取種を繰り返してきたサトイモは、

今年の梅雨、特に、

周囲の目を惹く目覚ましい勢いの生育ぶりです。








サトイモの名は、山地に自生していたヤマイモに対し、

里で栽培されることから付いたとされています。 

熱帯の、東南アジア原産タロイモ類の仲間であることから、

温暖で湿潤な梅雨の気候を好むのです。


畑で育てるのが一般的ですが、奄美諸島以南では

水田のように水を張った湛水で育てているそうです。

湛水状態で育てると、畑で育てるよりも

収量が2.5倍になるとの調査があると知りました。


さて、このところ、雨に閉じ込められるのを良いことに、

『有機畑の生態系~家庭菜園を始めよう』

(三井和子著、2001年、海鳴社)を読んでいます。

その中の項目、「炭酸ガスと微生物」は、

いわゆる有機農法の中でも特に、

炭素循環農法の実践者には、参考となる内容です。

それは、この農法が、微生物のエサとして、

炭素率の高い有機物を畑に投入することに徹底していて、

有機物の投入の仕方、そのことが

大いに問題となるからです。



実は、私は、最近も、

微生物の大量増殖による炭酸ガスの発生と思われる弊害で、

トマトと、それから、ナスも一部失敗しています。

それで、少し長くなりますが、以下、その箇所を引用します。




知識の乏しいウイークエンド・ファーマーが、時間に追われて、
堆肥を投入した直後にトマトの苗を植え付けたことがある。
翌週畑に行ってみると、緑色だったはずの茎葉が黄色に変わり、
「もはやこれまでか」という思いに駆られた。~。
翌週畑につくと、なんとトマトの苗はふたたび緑色によみがえり、
元気をとりもどしているではないか。
葉の黄変は、どうやら堆肥投入直後の、カビや細菌の爆発的な増殖による
炭酸ガスの大量発生のためだったようだ。
緑を取り戻したのは、一週間たって急激な増殖が一段落し、
炭酸ガスの発生量もぐんと減ったためである。
炭酸ガスを吸って光合成するトマトだって、酸素を吸って生きている。
やっと酸欠状態から脱して息がつけるようになったのだ。(84~85頁)








上の写真のトマトは、私が園芸店で買った苗数本を


今年のゴールデンウィークに畑に植えた中の一本です。

植えて二、三週間ほどしてからだったでしょうか、

大玉トマトであることを楽しみに、善かれとの親心一心で、

苗の根回りを浅く掘り、畑に余っていた発酵チップの

菌床化した塊入れ、土を被せました。

その後、梅雨の走りの雨が降りましたが葉が黄変し、

このトマトの苗だけ成長が著しく阻害されました。

あきらめていましたが、梅雨の最中となった現在は、

葉の緑を取り戻しています。




成長が止まっていた時期があり、苗は、小さいままです。
初めて着果した実は、曲がって、肥大しません。


上の写真のナスもまた、

現在、葉の緑を取り戻してはいますが、

トマトと同様、高温時の菌床化した発酵チップの投入

その後の雨という経緯を辿った結果、微生物の大量増殖と、

その呼吸による大量の炭酸ガス発生、

根が酸素を吸収できなくなるという経緯で

成育の一時阻害が生じたと考えられます。

下は、ほぼ同時期に植えた他のナス苗の写真です。

二つを比較すると、その違いが明らかですね。







「過ぎたるはなお及ばざるのごとし」にならぬよう、

炭素資材の投入には、

温度及び、水分環境に十分気を付けることが肝要と

それこそ、肝に銘じた次第です。




一時活気を失っていたヴェルガモットが、今年、復活し、
テリトリーを広げました。