2018年6月23日土曜日

無肥料、無農薬、水やりいらずの薔薇 *炭素循環農法の薔薇(その4)*





苺が終わると
やはりバラ科のブラックベリーの花が咲き始めて。


今年、4月下旬から5月中旬にかけ、

林さんが2年ぶりに来日されました。

ブラジル在住の林さんは、あるきっかけから、

この古くて新しい農法の理論を独学で構築され、

「炭素循環農法」と名づけられました。そして、

「この農法に従来の慣行農法、自然農法を超える可能性が

あると気づいてしまったからには、それを実証し、

広めずにはいられない。」という思いで、2009年から

手弁当で毎年来日し、全国を行脚していらっしゃいます。

林さんの来日は、ある意味、実証研究でもあるのですね。


いづれにしろ、林さんの来日を知った全国の実践者は、

久しぶりに気分が高揚し、神奈川では、5月12日、

13日の両日、湘南二宮にて、

炭素循環農法全国交流会が開かれました。


その頃、夏野菜の植え付けが終わった横浜の

無施肥、無農薬、水やり要らずの畑では、

薔薇Juliaが美しく開花し、初夏の風に揺れていました。



1976年、イギリス作出、 Hybrid Tea、四季咲き、中香。
2018年初夏のジュリア


この薔薇は、2003年に千葉の京成バラ園で求めました。

当時、我が家の庭薔薇は、

鎌倉市の大船植物園の栽培基準に合わせ、

2月10日の剪定と牛糞、腐葉土の投入を怠らず、

折々に薬剤散布をしながら育てていました。


Juliaは、別名 Chocolate Roseとも呼ばれ、

銅色にピンクがかかった花色が特徴で人気があります。

しかし、その珍しい花色とは裏腹に樹勢は弱く、
私は、

我が家の庭では育てるのが難しいと感じていました。

それで、2011年の冬、

この薔薇のへの移植を決意しました。



当時、自宅から車で30分ほどの横浜市西部にある

我が家の家庭菜園では、

有機施肥農法から転換3年目の野菜達が

無施肥、無農薬、水やり要らずの炭素循環農法土壌への

適応の兆しを見せていました。

そして、その移植後は、日当たり、風通しといった

環境の改善も関係したのでしょう、

薔薇自体の光合成が活発となり、土壌の微生物との

スムースな養分循環が始まり、

Juliaは、みるみる元気をとりもどしていきました。



ネットで調べると、この薔薇は、枝数が増えにくいので、

若いうちは片伸びすることが多い、

じっくり作りこんでいくことにより、

きれいな樹形に育つとあります。



その言葉通り、放っておくと、3メートルほども

長く伸ばした枝の始末に困るほどの生長になりました。

そして、2年程前からは、下の写真のように、

この薔薇本来の見事なカップ咲き、

優雅なフリルの大花を咲かせるようになりました。



2017年5月、しっかりとしたカップ咲きの造形美。



波打つフリルが優雅。




但し、シーズンを通してたった一輪ではありますが、

きれいな左右対称を形成できない花の現象と

葉に少しの虫食いがみられました。




2017年。花の形が左右対称でない奇形は、養分循環がうまくいっていない、
花を咲かせるためのエネルギー不足からと考えられます。
キャベツ、白菜など葉物野菜にも、葉の広がり方の奇形として、
転換初期にはよくみられる現象です。



花に問題はありませんが、多少の虫害があり、
葉の白い部分が透けています。2017年。

今年、2017年の
Juliaに

上の写真にみるような不安定さは見当たりませんが、

樹勢が強くなりすぎ、

花の数は昨年と比較して少ないようです。

土壌が出来てからは、栽培技術としての剪定が必要ですね。



最近になり、私は、

Juliaの花言葉を"努力の人"と知りましたが、

この薔薇は、7年かけて無施肥、無農薬、

水やり要らずの畑に順応し、見事な花を咲かせた、

言わば、炭素循環農法第一号の薔薇です。




この薔薇に特徴的な赤い新芽が何本も元気に出ています。
2018年5月。

交流会場で久しぶりにお会いした林さんは、

いつも通りの穏やかな笑顔で、

「菜園の様子はどうですか。」とやさしく

声をかけてくださいました。

今年は、昨年からの不順な天候も影響したのでしょう、

100本植えたタマネギの出来に

多少の不揃いが目立ちましたし、

例年、ほったらかしで何の問題もなかった

ニンニクの収穫が想像以上に悪かったので、私は、

「一歩前進、一歩後退といった感じでしょうか。」

などとあいまいな答えを返しました。

二日目の交流会も終わり、

夕方、雨の中、東京にもどられるという林さんを

JR二宮駅まで車でお送りしましたが、お別れした後、

肥料と農薬が欠かせないと言われる薔薇の花が

無施肥、無農薬、水やり要らずの畑で

見事に咲いているのを見て頂ければ、

満足してくださったのではと

大いに悔やまれたことでした



ぶどう棚の手前、Juliaの横にセージの群落。