今年、4月下旬から5月中旬にかけ、
林さんが2年ぶりに来日されました。
林さんが2年ぶりに来日されました。
ブラジル在住の林さんは、あるきっかけから、
この古くて新しい農法の理論を独学で構築され、
「炭素循環農法」と名づけられました。そして、
「この農法に従来の慣行農法、自然農法を超える可能性が
あると気づいてしまったからには、それを実証し、
広めずにはいられない。」という思いで、2009年から
広めずにはいられない。」という思いで、2009年から
手弁当で毎年来日し、全国を行脚していらっしゃいます。
林さんの来日は、ある意味、実証研究でもあるのですね。
いづれにしろ、林さんの来日を知った全国の実践者は、
久しぶりに気分が高揚し、神奈川では、5月12日、
13日の両日、湘南二宮にて、
炭素循環農法全国交流会が開かれました。
その頃、夏野菜の植え付けが終わった横浜の
無施肥、無農薬、水やり要らずの畑では、
薔薇Juliaが美しく開花し、初夏の風に揺れていました。
1976年、イギリス作出、 Hybrid Tea、四季咲き、中香。 2018年初夏のジュリア |
この薔薇は、2003年に千葉の京成バラ園で求めました。
当時、我が家の庭薔薇は、
鎌倉市の大船植物園の栽培基準に合わせ、
2月10日の剪定と牛糞、腐葉土の投入を怠らず、
折々に薬剤散布をしながら育てていました。
Juliaは、別名 Chocolate Roseとも呼ばれ、
銅色にピンクがかかった花色が特徴で人気があります。
しかし、その珍しい花色とは裏腹に樹勢は弱く、私は、
我が家の庭では育てるのが難しいと感じていました。
それで、2011年の冬、
この薔薇の畑への移植を決意しました。
当時、自宅から車で30分ほどの横浜市西部にある
我が家の家庭菜園では、
有機施肥農法から転換3年目の野菜達が
無施肥、無農薬、水やり要らずの炭素循環農法土壌への
適応の兆しを見せていました。
そして、その移植後は、日当たり、風通しといった
環境の改善も関係したのでしょう、
薔薇自体の光合成が活発となり、土壌の微生物との
スムースな養分循環が始まり、
Juliaは、みるみる元気をとりもどしていきました。
ネットで調べると、この薔薇は、枝数が増えにくいので、
若いうちは片伸びすることが多い、
じっくり作りこんでいくことにより、
きれいな樹形に育つとあります。
その言葉通り、放っておくと、3メートルほども
長く伸ばした枝の始末に困るほどの生長になりました。
そして、2年程前からは、下の写真のように、
この薔薇本来の見事なカップ咲き、
優雅なフリルの大花を咲かせるようになりました。
2017年5月、しっかりとしたカップ咲きの造形美。 |
波打つフリルが優雅。 |
但し、シーズンを通してたった一輪ではありますが、
きれいな左右対称を形成できない花の現象と
葉に少しの虫食いがみられました。
2017年。花の形が左右対称でない奇形は、養分循環がうまくいっていない、 花を咲かせるためのエネルギー不足からと考えられます。 キャベツ、白菜など葉物野菜にも、葉の広がり方の奇形として、 転換初期にはよくみられる現象です。 |
花に問題はありませんが、多少の虫害があり、 葉の白い部分が透けています。2017年。 |
今年、2017年のJuliaに
上の写真にみるような不安定さは見当たりませんが、
樹勢が強くなりすぎ、
花の数は昨年と比較して少ないようです。
土壌が出来てからは、栽培技術としての剪定が必要ですね。
最近になり、私は、
Juliaの花言葉を"努力の人"と知りましたが、
この薔薇は、7年かけて無施肥、無農薬、
水やり要らずの畑に順応し、見事な花を咲かせた、
言わば、炭素循環農法第一号の薔薇です。
この薔薇に特徴的な赤い新芽が何本も元気に出ています。 2018年5月。 |
交流会場で久しぶりにお会いした林さんは、
いつも通りの穏やかな笑顔で、
「菜園の様子はどうですか。」とやさしく
声をかけてくださいました。
今年は、昨年からの不順な天候も影響したのでしょう、
100本植えたタマネギの出来に
多少の不揃いが目立ちましたし、
例年、ほったらかしで何の問題もなかった
ニンニクの収穫が想像以上に悪かったので、私は、
「一歩前進、一歩後退といった感じでしょうか。」
などとあいまいな答えを返しました。
二日目の交流会も終わり、
夕方、雨の中、東京にもどられるという林さんを
JR二宮駅まで車でお送りしましたが、お別れした後、
肥料と農薬が欠かせないと言われる薔薇の花が
無施肥、無農薬、水やり要らずの畑で
見事に咲いているのを見て頂ければ、
満足してくださったのではと
大いに悔やまれたことでした。
ぶどう棚の手前、Juliaの横にセージの群落。 |