コロナ禍の2020年11月23日、勤労感謝の日。
横浜の天気は晴れ。一日の最高気温は、20°C、
最低気温は、10°C。この時期としては
信じられないほど穏やかな午後、畑に着くと、
ヒャクニチソウはまだまだ色鮮やか、
薔薇の根元に自生する蕗の青々とした様子が
目を惹きました。
今年、関東甲信越の梅雨明けは、8月1日。
気象庁の発表によると、
平年より11日ほど遅く、昨年より8日遅い 。
梅雨期間中の降水量は、軒並み平年の2倍前後に達し、
東京では、7月中、全く雨が降らなかった日は、
わずか1日だったそうです。
その結果は、日照不足として、
畑でさし芽したトマトの生育の遅れに顕著でした。
秋・冬野菜の植え場所確保のため
それらの苗をあきらめ、取り除こうと思い立った矢先、
なんと10月に入ってから、桃太郎、サンチェリー、共に
順々と花を咲かせ、立派な果実をきちんとつけ始めました。
特徴である皮の柔らかさから、市場に流通しない、 家庭菜園ならではのぷちぷよ |
このようにして、11月という季節外れに大逆転を遂げた
畑のトマト達を眺めながら、
それでも赤く熟すことはないだろうと
半ばあきらめかけていましたら、
驚いたことに、11月も下旬に入って、
その一部が当たり前のように色づき始めました。
実は熟したとしてもやはり、残りのトマトの感は否めず、
味はもう一つのはず。しかし、このところの気温の高さと
ストレスのない無施肥・無農薬の畑に素直に順応して、
11月も終わりに近い奇跡の路地トマトは、
間違いのない美味しさでした。
私は、今年の気象条件を振り返りながら、
トマトの果実が赤くなるための積算温度の重要性を
改めて実感しました。
11月18日の収穫 |
ここで、トマトの果実が色づく条件の一つ、積算温度とは、
一日ごとの平均気温を足していった総計のことです。
すでにご存じの方もいらっしゃると思いますが、
トマトの積算温度について、ネットで調べた内容を
以下に引用します。
例えば、平均気温20°Cの日が10日間続けば
「積算温度は200°C』」となります。トマトは、
開花してからの積算温度が1100°C程度になると着色し
収穫が可能な状態になります。栽培の入門書などでは、
トマトは開花から50日から55日で収穫となる、
とよく書いてありますが、これはトマト栽培期間の平均気温が
20~22°C程度を想定しているからです。簡単に覚えるなら、
「トマトは種まきから約60日(約2か月)で花が咲き、
花が咲いてから50日~55日(約2か月)で収穫になる」と言えます。
(Yahoo知恵袋)
さて、トマトの果実が赤くなるためには、
積算温度以上に大切な前提条件があります。
それは、トマト本体の生育がストレスなく
順調であることです。
トマトが順調に生育するために、慣行農法では、
水遣りや与える肥料の過不足、
時として農薬の必要性が言われます。しかし、元来、
無施肥・無施水・無農薬の炭素循環農法の畑では、
トマトは、土壌の環境が整いさえすれば、
このような問題から解放され、自然に順調に育ちます。
クチクラ層が十分に発達し、果実は、光り輝きます。
実際、梅雨明け後の東日本の太平洋側、8月の降水量は、
1946年の統計開始以来の最小雨で、しかも酷暑でしたが、
我が家の畑では、播種、植え付けの際を除き、
トマトはもちろんのこと、他の野菜に対しても
現在に至るまで一滴も水遣りをしていません。
さて、11月24日、連休明けの急な冷え込みで
トマトの明るい緑の葉の一部が黄ばみました。
私は、こうなったら時間との競争とばかり、
全ての果実に陽の光がまんべんなく当たるよう
黄ばんだ葉はもちろんのこと、
その他の元気な葉にも大急ぎで剪定を施しました。
剪定し終えた葉は、
残渣として分解が速く進むようにハサミで細かく刻み、
畝の上に重ね置くと、微生物のエサになります。
トマトの根元に残渣 |
午後からの作業を終えた帰り際、畑を見渡すと、
葡萄棚の手前、セージの花が今を盛りと咲いています。
その青には、コロナで自粛の続くこの時期、
目から元気をもらえる強さがあります。
家庭菜園には、野菜だけでなく、花があると、
色々良いことがあります。