夏野菜撤去のタイミングとなりました。
トマト、ナス、オクラ、ピーマン等の残渣を
地面に放置し、水分を蒸発させます。
その残渣は、ブロッコリー、キャベツ、白菜等、
秋冬野菜の苗を植える際、
微生物のエサとして、表土20㎝程度の深さまで
熊手で漉き込みます。
残渣は予め、根ごと鋏で適当な大きさに切って置くと、
漉き込む際、土と混ざり易く、作業が簡単です。
この時期、畝間の雑草は、イネ科のメヒシバ一種類です。
そのメヒシバは登熟し、C/N比が高くなっていますから、
腐敗の心配がありません。生のまま土に漉き込みます。
このようにして、畑の整理と、微生物のエサの投入とが
一挙に済みますから、季節の変わり目の
炭素循環農法の作業は、両得です。

上の写真は、秋の降雨で青々と美しい
我が家自慢の看板娘、平畝の苺畑です。
生えている雑草を見れば、
その畑の土壌状態が分かると言われますが、
炭素循環農法9年目に入った、夏から秋の畝上の雑草は、
畑の周囲から入り込む僅かなつる性雑草、ヤブガラシ、
ヘクソカズラを除けば、ほぼ100%がカタバミです。
「植生の遷移」と呼ばれる現象の一例になるのでしょうが、
一般的に、畑の土壌が肥沃化すれば、
炭素固定能力の高いイネ科雑草の役割は終わり、
炭素固定能力は低く、養分要求度が高い双子葉の雑草、
カタバミ、アカザ、シロザ等が生えるようになります。
イネ科雑草も食べようと思えば、食べられるそうですが、
不味いに決まっています。食べてみようとは思いません。
カタバミ、アカザ、シロザ等は、見た目から分かるように、
イネ科雑草と比べ、葉茎が柔らかく、野菜に近い雑草です。
私は、ふっと、苺畑の土の中を見てみたくなりました。
苺とカタバミの根を傷つけないよう
三角鍬で慎重に剝がしてみると、下の写真にみるように、
カタバミの根に白い菌糸がしっかりとついています。
カタバミの根は、想像以上に太く、がっしりしています。




苺の根にも菌糸は見当たりますが、細々として、
カタバミほどではありません。何故と意外に思いました。
しかし、しばらくすると、
この不思議な現象は、野菜と雑草の「共生」、
その本当の意味を教えてくれていると気付きました。
春に有り余るほどの美味しい実をつけた苺が、
再び元気な新根を伸ばし始めるのは、更新するにせよ、
しないにせよ、秋から次の春にかけてでしょう。
それまでの間、地中の糸状菌は、
旬の元気な雑草カタバミの根につき、
カタバミと共生することにより、
生き残りを図るのではないでしょうか。
我が家の苺畑の糸状菌は、このようにして、
苺とカタバミとの共生を日和見的に選択しながら、
二種の植物の間を行き来することが考えられます。
その結果、季節を通し、地上と地下の
養分循環が滞ることはなく、苺畑は、
常に安定した肥沃な土壌であり得ることになります。
以上のように考えると、畑の作物と雑草との共生、
植物と菌との共生、そして、「共生」の真の意味を
実感し、理解することができます。
繰り返しますが、苺畑のカタバミの根についた糸状菌は、
日和見的に、新鮮で元気な旬の植物と共生する傾向を
強く示しています。このことから、
私は、旬の作物を食べなければならないことの
意味を改めて深く嚙みしめました。
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横浜の苺畑 |
茨木県の小松菜ハウス栽培農家の写真。 ここでは、小松菜とシロザが共生しています。 土地により、あるいは、作物の種類により、共生する雑草が異なることが考えられます。 |