2018年10月12日金曜日

苺とカタバミの共生



10月4日、台風24号の到来は、

夏野菜撤去のタイミングとなりました。

トマト、ナス、オクラ、ピーマン等の残渣を

地面に放置し、水分を蒸発させます

その残渣は、ブロッコリー、キャベツ、白菜等、

秋冬野菜の苗を植える際、

微生物のエサとして、表土20㎝程度の深さまで

熊手で漉き込みます

残渣は予め、根ごと鋏で適当な大きさに切って置くと、

漉き込む際、土と混ざり易く、作業が簡単です



この時期、畝間の雑草は、イネ科のメヒシバ一種類です。

そのメヒシバは登熟し、C/N比が高くなっていますから、

腐敗の心配がありません。生のまま土に漉き込みます。

このようにして、畑の整理と、微生物のエサの投入とが

一挙に済みますから、季節の変わり目の

炭素循環農法の作業は、両得です。









上の写真は、秋の降雨で青々と美しい

我が家自慢の看板娘、平畝の苺畑です。

生えている雑草を見れば、

その畑の土壌状態が分かると言われますが、

炭素循環農法9年目に入った、夏から秋の畝上の雑草は、

畑の周囲から入り込む僅かなつる性雑草、ヤブガラシ、

ヘクソカズラを除けば、ほぼ100%がカタバミです。



「植生の遷移」と呼ばれる現象の一例になるのでしょうが、

一般的に、畑の土壌が肥沃化すれば、

炭素固定能力の高いイネ科雑草の役割は終わり、

炭素固定能力は低く、養分要求度が高い双子葉の雑草、

カタバミ、アカザ、シロザ等が生えるようになります。

イネ科雑草も食べようと思えば、食べられるそうですが、

不味いに決まっています。食べてみようとは思いません。

カタバミ、アカザ、シロザ等は、見た目から分かるように、

イネ科雑草と比べ、葉茎が柔らかく、野菜に近い雑草です。


私は、ふっと、苺畑の土の中を見てみたくなりました。

苺とカタバミの根を傷つけないよう

三角鍬で慎重に剝がしてみると、下の写真にみるように、

カタバミの根に白い菌糸がしっかりとついています。

カタバミの根は、想像以上に太く、がっしりしています。



























苺の根にも菌糸は見当たりますが、細々として、

カタバミほどではありません。何故と意外に思いました。

しかし、しばらくすると、

この不思議な現象は、野菜と雑草の「共生」、

その本当の意味を教えてくれていると気付きました。



春に有り余るほどの美味しい実をつけた苺が、

再び元気な新根を伸ばし始めるのは、更新するにせよ、

しないにせよ、秋から次の春にかけてでしょう。

それまでの間、地中の糸状菌は、

旬の元気な雑草カタバミの根につき、

カタバミと共生することにより、

生き残りを図るのではないでしょうか。


我が家の苺畑の糸状菌は、このようにして、

苺とカタバミとの共生を日和見的に選択しながら、

二種の植物の間を行き来することが考えられます



その結果、季節を通し、地上と地下の

養分循環が滞ることはなく、苺畑は、

常に安定した肥沃な土壌であり得ることになります。



以上のように考えると、畑の作物と雑草との共生、

植物と菌との共生、そして、「共生」の真の意味を

実感し、理解することができます。


繰り返しますが、苺畑のカタバミの根についた糸状菌は、

日和見的に、新鮮で元気な旬の植物と共生する傾向を

強く示しています。このことから、

私は、旬の作物を食べなければならないことの

意味を改めて深く嚙みしめました




横浜の苺畑




おまじないで雑草が消える
茨木県の小松菜ハウス栽培農家の写真。
ここでは、小松菜とシロザが共生しています。
土地により、あるいは、作物の種類により、共生する雑草が異なることが考えられます。
写真は、こちらから。