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2019年3月15日金曜日

無肥料・無農薬・水やり要らず 炭素循環農法の薔薇(その10)


年末の慌ただしい買い物途中、足を伸ばした

無施肥・無農薬・水遣り無しの畑で、信じられないことに、

ペネロペとジュリアは、たくさんの蕾をつけ、

緑の葉をふさふさと茂らせていました。



12月30日。ジュリア。



12月30日。ペネロペ。



12月30日。ペネロペ。


そして、年が明けた1月13日、開花した蕾は、

さすがに、霜で痛んでいます。

しかし、葉の素晴らしさは、変わらず、

落葉は、まだまだ先のように見えます。



1月13日。ペネロペ。




1月13日。ジュリア。



その後、注意して見守っていましたが、2本の薔薇の、

葉をつけたままの状態は続き、私は、

その先どうなるのかを見届けたいという好奇心と、

分類上、落葉樹である薔薇には、

休眠期があるという常識との間で迷いました。結局、

例年より一週間遅れの2月17日、冬剪定を行いました。



下の写真は、剪定当日のペネロペの様子です。

名残惜しい気持ちで、切り落とさずに残しておいた

フロリバンダ、最後の花房をつけています。







2月17日、剪定前のペネロペ。


そして、少し前から気付いていたことですが、

太陽光 を直接受ける表面の葉が紅葉しています。










地表に落とした剪定枝を見ると、おかしなことに、

紅葉をみずみずしいと感じるほど、

これまで見たことの無い美しさです。







剪定後、この日まで落葉の見られなかった薔薇の根本には、

経験したことがない程の多量の葉が残りました。








すっきりとして、横張性が露になったペネロペ。

太い茎の新芽がはっきりとしてきたら、

様子を見ながら、もう少し低い所まで

切り詰める予定です。




剪定後のペネロペの様子。



次に、品種の違いから来るのでしょうか、ジュリアには、

表面上、ペネロペのような紅葉が見られません。







しかし、昨年の台風で受けた塩害の後、

新たに芽吹いた元気な葉を落とすことが無かったので、

ジュリアの根本にもやはり、どっさりの剪定枝です。






剪定枝の切り口からも、充実した生育ぶりが伺えます。







直立性が際立つ剪定の終わったジュリアの樹形。

樹勢が弱い品種とも言われながら、この畑で、

昨年は、2.5メートル程にもなりましたから、

本格的な芽吹きの前に、ペネロペ同様、

もう少し低い所まで切り詰めたい高さです。










2019年2月28日木曜日

無肥料・無農薬・水やり要らず 炭素循環農法の薔薇(その9)




無肥料・無農薬の畑に移植して1年目、2017年5月の開花。




香りが強いわけでもなく、

一時夢中になったイングリッシュローズでもないこのバラが

我が家に来たいきさつについては、全く記憶にありません。

花の名前も定かではなくなっていましたが、

輝葉であること、花が鮮やかなピンクであること、

高芯咲きであることの三点を特徴として

ネットで検索した結果、

どうやらメイアン社のマヌウメイアンに近いようです。

ジュリア、ペネロペの無肥料・無農薬栽培への

めざましい適応ぶりを確認したうえで、三番目として、

自宅の鉢植えで、酷い状態になっていたこの薔薇を

畑に移しました。




2017年5月、無肥料・無農薬になり、
元気を取り戻しつつある株の様子。



畑のスペースが限られているため、

ペネロペの向かって左隣、葡萄棚の下に移植しましたが、

思いのほか勢い旺盛な葡萄の葉の陰になり、

先の二本のような驚くほどの成長ぶりは、

見せることが出来ないでいました。

満足な養分循環のためには、

地下の微生物叢が豊かになってきてはいても、地上の

植物自身の光合成が欠かせないことが考えられます。

それで、2月17日に葡萄棚の手前、日当たりの良い

ジュリアの隣に引っ越しさせることにしました。




2019年2月17日。剪定と移植直前の様子。








話は変わりますが、同じバラ科の果樹、

リンゴの無農薬栽培に挑戦した木村秋則さんは、

無農薬リンゴの実現が難しい最大の理由を、

「品種改良」としていました。

以下、その内容のポイントの部分を

『奇跡のリンゴ』より引用します。


農薬の存在しない時代には、たとえ品種改良で
甘いリンゴを実らせる木が生まれたとしても、
その木が病害虫に弱ければ、育つことは出来なかった。
ところが農薬の出現とともに、その制約が外されることになる。
病害虫に対する耐性を考えずに、より大きく、より甘いリンゴを
実らせる木を作ることだけを目的とした品種改良ができるようになった。
つまり、(リンゴは、)農薬を前提に品種改良された品種なのだ。
そして、その引き換えとして、リンゴは野生の力を失った。
農薬の助けなしには病害虫と戦うことのできない、
極めて弱い植物になってしまったというわけだ。

リンゴという果物は、農薬に深く依存した、
現代農業の象徴的存在なのだ。

現代のリンゴは、ひと昔前のリンゴとは全くの別物なのだ。
農薬を使わずにリンゴを育てるなんて、
世迷言意外の何物でもない。(『奇跡のリンゴ』25~29頁)





試し食いのような虫食い痕が葉の一、二か所に、また、葉2枚に黒点病がそれぞれ一か所ずつ
見られます。しかし、虫食いと病害は、それ以上の広がりを見せず、
2月17日現在、葉は、昨年の台風以来、一枚も落としていません。




薔薇は、果樹ではありませんが、リンゴ以上に

「品種改良」を重ねてきた栽培品種です。

とある総合園芸通販サイトには、「品種改良」について

リンゴと似通った記述が見られます。


自然界のバランスが崩れている
人間の生活圏内で栽培される植物は、
病害虫の被害に遭いやすくなります。
また、品種改良を重ねて生まれた植物は
本能的に持っている耐性を失うことが多く、

病気にかかりやすくなることも。
絶対病気にならない人間がいないように、

病気にならないバラはありません。
特にバラは一部の原種を除き、薬剤散布なしでは、
必ずといえるほど病害虫の被害に遭います。


けれども、以上、二つの記述とは裏腹に、

無肥料、無農薬、水やり無しの我が家の畑において、

品種改良を重ねて生み出されたはずのジュリアと

ペネロペが、たった数年の間に野生の力強さを取り戻し、

病害虫の被害を跳ね返しながら、

極めて健康に育っているのは、まぎれもない事実です。

ですから、炭素循環農法で育つ薔薇は、

パラダイムシフトの薔薇と呼ばれるのに

ふさわしいと思うのです。




移植後の薔薇。左奥にみえるのは、剪定の終わったジュリア。



さて、今回の畑内での移植ですが、地下の直根が

地中に真っすぐ、長く伸びていたため、

薔薇を掘り出すのには、とても気を使いました。

しかし、掘り上げた後は、新しい場所に植穴を掘り、

十分な潅水をしてから、そこに薔薇を植え戻し、

地表の根本、半径30㎝の範囲に発酵チップを

厚さ15㎝程ばら撒いただけの簡単さです。








移植する前の場所では、薔薇の根元にフキノトウが

顔を出していました。




薔薇の根に白いフキノトウの根がからみつく様子。



掘り上げた薔薇の根には、蕗の根が絡んでいます。

そして、薔薇ではなく、

フキノトウの根に白い糸状菌の塊が目立ちました。

















つまり、ここでも微生物は、葉は残していても、

本来活動休眠中である薔薇よりも

旬のフキノトウとの共生をはっきりと見せています。




2018年12月13日木曜日

無肥料・無農薬・水やり要らず 炭素循環農法の薔薇(その7)




失った薔薇へのオマージュ



葡萄棚の右手、薔薇の根元をそっと手で払うと、

きれいに団粒化した土が姿を現しました。

前回投入した発酵チップは、

99%分解されてしまっているようです。

良い土です。







しかし、いくら目を凝らしても、この場所に、

有機物を分解し、土壌の団粒化に役立つと

有難がられるミミズの姿は、見当たりません。それは、

実は、ミミズは、何らかの原因で炭素の循環が滞り、

未分解の有機物が残ることになってしまった

土壌を好んで生息するからです。


腐敗に傾きかけた未分解の有機物をエサとして分解し、

土壌を清浄化するミミズは、

非常時に、地下の免疫機能が働いていることの

目視可能な指標生物、その身近な一種と受け止められます。

ですから、ミミズがいるから即、良い土と

簡単に言い切ってしまうわけにもいかないのです。


炭素循環農法で作物を育てる私達は、

微生物の働きが活性化され、土壌の団粒化が進んだ畑で、

めったに目にしなくなったミミズに出会うと、

決まって、「何故?」と

そのミミズが出た原因を探りたくなります。




2017.5.15 ミミズは、条件がそろえば、いつでも出ます。



実は、この農法を始めて3、4年たった頃のこと、

玉ねぎの生育がもう一つでした。

それで、人から聞いた方法、

地表から20~30㎝の深さに、

大量の落ち葉を敷き込んだことがあります。

今から考えると、呆れたことに、

土と混ぜるという考えを、全く忘れていたようです。

そして、その結果はというと、

玉ねぎの生育自体、改善されることがなかったどころか、

大量の未分解の落ち葉をエサとする

ミミズやコガネムシの幼虫の大発生をみました。

更には、その後しばらくの間、

それらの微小生物をエサとするモグラの被害に

悩まされました。


結果には、全て原因があるということを

実感し、肝に銘じた貴重な経験です。





失った薔薇へのオマージュ





話は変わりますが、

最近、K園芸のホームページに載せられている

「薔薇に『元肥を与える理由』」という記事が

目につきました。というのも、

この記事の数か所を、別の語彙に置き換えると、

炭素循環農法の薔薇の育て方について

分かり易い説明が可能になると考えたからです。



以下、実際の記事を引用し、

次に、語彙を置き換えた内容を紹介してみたいと思います。



(実際の記事)
https://keihan-engei.com/baranae/know03/ 

 山に自生している木(野バラも含む)のように落ち葉が徐々に分解され
       翌年の肥料分として木に還元されるサイクルが、庭のバラづくりでは
       病害虫の発生、伝染の防止のために集めて捨てるので断たれてしまいます。
       したがって・年間通して栄養分がなくならないようにする、・元肥を地中に
       入れることでバラの生育上大切な微生物を活発化させる、・株付近の土を
       掘ることで空気を必要とする根を活発化させる、などの理由から元肥を与え
       ます。



(実際の記事の数か所を別の語彙に替えたもの)

 山に自生している木(野バラも含む)のように落ち葉が徐々に分解され
       翌年の養分として木に還元されるサイクルが、庭のバラづくりでは
       病害虫の発生、伝染の防止のために集めて捨てるので断たれてしまいます。
       したがって・年間通して栄養分がなくならないようにする、・高炭素資材を
       地中に入れることでバラの生育上大切な微生物を活発化させる、・株付近の土を
       掘ることで空気を必要とする微生物を活発化させる、などの理由から高炭素資材を
       与えます。




いかがでしょう。

分かりやすい説明になったのではないでしょうか。


自然を基準とし、その法則に倣う炭素循環農法では、

秋のもの、すなわち、微生物にとり栄養豊かな高炭素で、

しかも、適当に水分が飛ばされ、腐敗しにくくなった有機物を

資材として土に投入するのが基本です。

それで、私は、今年もこの時期、薔薇の根回りに、

10㎝~20㎝の厚さで発酵チップを播きました。









次に、ガーデニング用のコンパクトな熊手で

撒いたチップを20㎝ほど、空気の入る深さまで

土と混ぜます。ここに住む微生物は、

私達人間の遠い遠い祖先、空気がなければ、

生きていかれないのです。



このようにして、畑に移植してからの

炭素循環農法の薔薇にかける手間といったら、

落ち葉の頃の発酵チップの投入、

2月に入ってからの一般的な茎の更新と枝の剪定、

花が咲いている間の花がら摘みと、花後の軽い剪定、

たったそれだけです。

微生物が活性化し、団粒化した土には、

理由は一つではありませんが、植え替えの時以外、

一年中、水やりもいっさい無しなのです。

 


失った薔薇へのオマージュ




炭素循環農法の薔薇は、

薔薇ってこんなに丈夫で簡単に育つのと驚く、

まさに、パラダイムシフトの薔薇です。

これまでの常識を完全に覆し、

アジサイを育てるのとさほど変わらないじゃないのと

拍子抜けしてしまうほどのたやすさで育ちます。


もちろん100%というわけではありませんよ。

ミミズと同様、何らかの加減で

ほんの一部の蕾や茎に、薔薇ゾウムシやアブラムシの姿を

発見することがあります。たくさんの花を咲かせた後、

疲れた薔薇の葉に、黒点病が現れることもあります。

しかし、それも、全くのところ、気にする必要はなく、

放っておいて問題ありません。黒点病で葉が落ちれば、

地面の上にそのままにして置きましょう。


微生物の働きにより、私たちは、化学、有機の別なく、

無肥料・無農薬の、元気な、そして、最高に美しい薔薇を

手間とお金をかけることもなく、

おおらかな気持ちで育て、慈しむことができます。

興味から来る観察は、いつも必要ですけれどね。




12月初旬、よく見れば、キノコがまだ出没する畑