2019年2月28日木曜日

無肥料・無農薬・水やり要らず 炭素循環農法の薔薇(その9)




無肥料・無農薬の畑に移植して1年目、2017年5月の開花。




香りが強いわけでもなく、

一時夢中になったイングリッシュローズでもないこのバラが

我が家に来たいきさつについては、全く記憶にありません。

花の名前も定かではなくなっていましたが、

輝葉であること、花が鮮やかなピンクであること、

高芯咲きであることの三点を特徴として

ネットで検索した結果、

どうやらメイアン社のマヌウメイアンに近いようです。

ジュリア、ペネロペの無肥料・無農薬栽培への

めざましい適応ぶりを確認したうえで、三番目として、

自宅の鉢植えで、酷い状態になっていたこの薔薇を

畑に移しました。




2017年5月、無肥料・無農薬になり、
元気を取り戻しつつある株の様子。



畑のスペースが限られているため、

ペネロペの向かって左隣、葡萄棚の下に移植しましたが、

思いのほか勢い旺盛な葡萄の葉の陰になり、

先の二本のような驚くほどの成長ぶりは、

見せることが出来ないでいました。

満足な養分循環のためには、

地下の微生物叢が豊かになってきてはいても、地上の

植物自身の光合成が欠かせないことが考えられます。

それで、2月17日に葡萄棚の手前、日当たりの良い

ジュリアの隣に引っ越しさせることにしました。




2019年2月17日。剪定と移植直前の様子。








話は変わりますが、同じバラ科の果樹、

リンゴの無農薬栽培に挑戦した木村秋則さんは、

無農薬リンゴの実現が難しい最大の理由を、

「品種改良」としていました

以下、その内容のポイントの部分を

『奇跡のリンゴ』より引用します。


農薬の存在しない時代には、たとえ品種改良で
甘いリンゴを実らせる木が生まれたとしても、
その木が病害虫に弱ければ、育つことは出来なかった。
ところが農薬の出現とともに、その制約が外されることになる。
病害虫に対する耐性を考えずに、より大きく、より甘いリンゴを
実らせる木を作ることだけを目的とした品種改良ができるようになった。
つまり、(リンゴは、)農薬を前提に品種改良された品種なのだ。
そして、その引き換えとして、リンゴは野生の力を失った。
農薬の助けなしには病害虫と戦うことのできない、
極めて弱い植物になってしまったというわけだ。

リンゴという果物は、農薬に深く依存した、
現代農業の象徴的存在なのだ。

現代のリンゴは、ひと昔前のリンゴとは全くの別物なのだ。
農薬を使わずにリンゴを育てるなんて、
世迷言意外の何物でもない。(『奇跡のリンゴ』25~29頁)





試し食いのような虫食い痕が葉の一、二か所に、また、葉2枚に黒点病がそれぞれ一か所ずつ
見られます。しかし、虫食いと病害は、それ以上の広がりを見せず、
2月17日現在、葉は、昨年の台風以来、一枚も落としていません。




薔薇は、果樹ではありませんが、リンゴ以上に

「品種改良」を重ねてきた栽培品種です。

とある総合園芸通販サイトには、「品種改良」について

リンゴと似通った記述が見られます。


自然界のバランスが崩れている
人間の生活圏内で栽培される植物は、
病害虫の被害に遭いやすくなります。
また、品種改良を重ねて生まれた植物は
本能的に持っている耐性を失うことが多く、

病気にかかりやすくなることも。
絶対病気にならない人間がいないように、

病気にならないバラはありません。
特にバラは一部の原種を除き、薬剤散布なしでは、
必ずといえるほど病害虫の被害に遭います。


けれども、以上、二つの記述とは裏腹に、

無肥料、無農薬、水やり無しの我が家の畑において、

品種改良を重ねて生み出されたはずのジュリアと

ペネロペが、たった数年の間に野生の力強さを取り戻し、

病害虫の被害を跳ね返しながら、

極めて健康に育っているのは、まぎれもない事実です。

ですから、炭素循環農法で育つ薔薇は、

パラダイムシフトの薔薇と呼ばれるのに

ふさわしいと思うのです




移植後の薔薇。左奥にみえるのは、剪定の終わったジュリア。



さて、今回の畑内での移植ですが、地下の直根が

地中に真っすぐ、長く伸びていたため、

薔薇を掘り出すのには、とても気を使いました。

しかし、掘り上げた後は、新しい場所に植穴を掘り、

十分な潅水をしてから、そこに薔薇を植え戻し、

地表の根本、半径30㎝の範囲に発酵チップを

厚さ15㎝程ばら撒いただけの簡単さです。








移植する前の場所では、薔薇の根元にフキノトウが

顔を出していました。




薔薇の根に白いフキノトウの根がからみつく様子。



掘り上げた薔薇の根には、蕗の根が絡んでいます。

そして、薔薇ではなく、

フキノトウの根に白い糸状菌の塊が目立ちました。

















つまり、ここでも微生物は、葉は残していても、

本来活動休眠中である薔薇よりも

旬のフキノトウとの共生をはっきりと見せています。