2018年7月1日日曜日

日本大学生物資源科学部市民講座






6月の毎土曜日、藤沢の日本大学生物資源科学部に於いて
平成30年度市民講座が開かれました。




日大構内、駐車場から校舎までの道の両側には、曇り空の下、
日本あじさいが見事に咲いていました。



講座二日目は、生命農学科立石先生による
「国産トウガラシの普及を目指して」という内容でした。

以下は、配布された資料の一部を引用し、まとめたものです。







トウガラシは原産が中南米で、
コロンブスがヨーロッパへ持ち帰りました。
トマト、ナス、ジャガイモと同じナス科の植物で、
伝わって行った先々の気候、風土に適応しつつ、
その土地の住民による選別を受け、
多数の系統、品種に分化し、多様になりました。

辛味の主成分カプサイシンは、
種子に付着した綿状の胎座に蓄積し、
意外にも、種子そのものはそれほど辛くないそうです。




我が家の畑でもトウガラシは、毎年欠かしません。
園芸店で、2,3株の苗を求めれば、一年の需要に十二分の収量が得られます。



トウガラシは、
栽培を始めるにあたっての初期投資もそれほど大きくなく、
栽培自体に手間もかからないので、
昭和38年には、7,000トンの国内生産があり、
外貨獲得の担い手として海外にも輸出されていました。
しかし、
現在の国内生産量は200トンを下回っているそうです。

反対に、輸入量は、平成25年には、
約14,000トンにも増加し、
そのほとんどが中国からだそうです

国内栽培の最盛期よりも
需要が伸びているにもかかわらず、
国内生産の栽培面積が減少した理由には、
円高による輸出の困難性、作物自体の低収量、
収穫及び、収穫後の調整作業に
独特の手間がかかるなどの問題があるそうです。

加工業者によると、
七味唐辛子を目の前で調合してくれるようなお店では、
果実の形状、辛み成分の強さ、風味、色調などに優れた品種、
栃木三鷹(とちぎさんたか)が良く使われるそうです。

一方、有名メーカーの市販トウガラシは、
ほとんどが輸入品となり、
国内産とは、味も香りも大きく異なるということです。

そのため、大手食品メーカーも
国産への切り替えを検討していて、
全量買い取りを保証してまで
栽培農家を募る加工業者もあるそうです。



我が家で使用中の七味唐辛子には、原産国の表示はみられません。


以上のような状況を踏まえ、
日本大学では、収穫後の調整作業の軽減化を図ることで
生産量の増加、需要への対応が可能であると考え、
現在、国内で栽培されている主力優良品種、栃木三鷹に、
成熟時、
ヘタから果実が離脱するタイプの種子を交雑させ、
7年をかけ、栃木三鷹の顕性を保ちながら、
果実離脱性を導入したF1新品種の生産に
成功したそうです。

また、収穫したトウガラシを
加工・販売するルートを確保するため、
トウガラシの加工販売業者、輸入会社、
機械製作会社とともに研究を進めているそうです。

ところで、後日ネットで調べると、
栃木三鷹は、1978年、
日本より中華人民共和国河南省香花に導入され、
登録商標香花小辣椒として栽培されているそうです。




香花鎮 に対する画像結果
香花小辣椒

インターネット香花鎮の画像より借用。



そして、2011年には、
中国から輸出される乾燥唐辛子の40%以上を 
香花小辣椒が占めているそうです。

ということは、国内産栃木三鷹と中国産香花小辣椒とは、
名前は異なっても同じ品種ですね。
品種が同じでも育った気候風土、栽培技術により
味や香りが異なるということでしょうか。

この点について、
正確なところを立石先生に伺ってみたいと思いました。