2018年10月1日月曜日

ヴィラデスト(Villa d'est) の庭


 
南斜面をなだらかに下るVilla d'estの庭




ヴィラデスト(Villa d'est)は、

上信越高原国立公園の浅間連山を背にして、長野県東部、

東御市(とうみし)の緩やかな南斜面に広がる農園、

ワイナリー、カフェレストラン、ギャラリーの総称です

エッセイストで画家の玉村豊男さんと、妻の抄恵子さんが

この土地を「終の棲家となる農園は、ここ」と見定め、

軽井沢町から移住したのは、1991年のことでした

井戸を掘り、トレーラーで起こした石を取り除き、

草を刈り、三千坪の荒地の開墾を進めながら、二人で

ズッキーニ、トマト等の夏野菜、ハーブや花と共に

500本のワイン用葡萄苗を植えたのがその始まりです。





晴れた日には、眼下の東西を流れる千曲川を挟んで、
正面に蓼科、八ヶ岳の雄大な山並みが見えます。



2004年には、ィラデスト ガーデンファーム

 アンド ワイナリー設立されましたが、その間の経緯は、

玉村さんの『種まく人~ヴィラデスト物語~』、『草刈る人』、

『花摘む人~ヴィラデストワイナリーができるまで~等、

一連の著書に詳しく書かれています。

これらの本を読むと、エッセイストであり、画家である

玉村さんが、実は、優れた起業家であり、

将来を見据えた抜群の行動力と

実務にたけた人でもあることに気づかされます。


玉村さん夫婦の移り住んだ田沢村は、

人口600人程の小さな村だそうですが、

その後、ワイナリーの数も増え、今では、

品質の高さで世界に知られるNAGANO WINE

牽引する役割を担うほどの発展だそうです。


東御市のホームページを見ると、

この地方の気候は降水量が少なく、

2014年の晴れの日数は249日、晴天率70%、

いつも晴れている町と書かれています。


しかし、今年、私たちが訪れた9月15日は、

珍しく朝からの小雨でした。

おかげで、私は、傘をさしながらではありましたが、

人気ない農園の美しい庭を

 独り占めした気分で廻ることができました。

オーナーである玉村さん夫婦の想いの詰まった庭です。

画家の色使い、配置のセンスに感心させられると共に、

周囲の緑の借景と、ここに住む人の日常に溶け込んだ、

落ち着いた雰囲気が素晴らしく、伝わります。






センスの行き届いたセダムの色の取り合わせ




薔薇



時折、ハーブを摘みに来る

レストランの可愛い女性スタッフが

幸せそうな笑顔で私の横を通り過ぎて行きました。




ジニアを中心としたVilla d'estの庭の植栽。

 



百日草(ジニア)
    
    
               
百日紅(サルスベリ)




ランタナ



母とこの庭を訪れたのは、何年前だったのでしょうか。

標高850メートル、8月の晴れた丘は、夏でも風が涼しく、

正面のベンチに陣取った夫は、心地よさそうに

千曲川河岸段丘から蓼科、八ヶ岳へと続く

雄大な眺めにいつまでも見入っていました。

花好きの母は、大株に育つと知った紫の花苗を

自宅の広い庭を埋めるためにと求めて帰りました。




ダリア




百日草(ジニア)





千日紅



ダリア



あけぼのふうろ(ゲラ二ウム)



薔薇



セダムエキナセア



今回、前日に善光寺の両親の墓参りを済ませた私達は、

車のナビに導かれ、長野市内から上田方面へ向かう近道、

県道35号線を松代へ走り、松代からは、

新地蔵峠の難所、山深い九十九折(つづらおり)を抜け、

夕方、東御市の宿泊先に着いたのでした。



翌日の昼前、お目当てだった農園の庭を後にすると、

下り斜面のひなびた村沿いの道を通り抜け、

時折すれ違う見事なクルミの大木に歓声をあげながら、

走り慣れた国道18号線に出ました。その後、

昼食をとる予定の、人混みで別世界の軽井沢まで、

約1時間の距離でした。




樹の下から眺める花庭 




霧に閉ざされたVilla d'estの草地の斜面




庭の出口には、クレマチスモンタナ。






                                                           http://tomi-wine.jp/about/