2018年11月24日土曜日

無肥料・無農薬・水やり要らず 炭素循環農法の薔薇(その6) 




先々週の木曜日、11月8日のことになりますが、

友人と秋の北鎌倉に出かけました。

その北鎌倉で私たちは、9月30日から10月1日にかけ、

関東地方を襲った台風24号の強風による塩害、

樹木の葉の不自然な枯れ、変色などを

目の当たりにしました。


帰宅してから知ったことですが、特に被害が大きかった

鎌倉市大船のフラワーセンター(元大船植物園)では、

やはり、花壇の多くの植物に葉の変色が確認され、

スタッフは、約2千株の植え替え作業に追われたそうです。


大船フラワーセンターは、

ここ湘南では、薔薇で有名な植物園ですが、

その薔薇については、自然回復を待つ方針で、

洗浄、消毒、傷んだ葉の除去などを行ったそうです。

しかし、半数以上の薔薇の開花が遅れるという見通しです。


実は、海からは遠いと思われる

横浜市西部もまた、

今回の台風による塩害を免れることは出来ず、

借りている家庭菜園の我が家の区画でも

順調に生育していた里芋の葉の半数以上を失ったほか、

葡萄棚の南側に位置する薔薇三本は、強風のせいもあって

全ての葉を落とし、丸裸の状態になりました。


しかし、バラ科の植物というのは、

本来、再生力の強いものなのですね。水やりは、勿論のこと

何もしないで見守っていましたが、三本ともに

2週間後には、自力回復で一斉に新芽を出し、

ジュリアは、早々と蕾まで付けました。



10月14日、ジュリアの新芽




10月14日、ジュリアの蕾



10月下旬に入ると、蕾がピンクに色づき始めましたが、

花のすぐ近くの葉にスリップスなのでしょうか、

虫食いの痕が見られます。

しかし、それは、葉全体のほんの一部で

それ以上、広がることはありません。

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その後、ジュリアは、次々と開花を続け、

秋の畑を華やかに彩ってくれています。




ジュリア 11月12日





ジュリア 11月12日





11月13日 同じバラ科の苺の畝を見下ろすジュリア




11月18日 秋ジャガイモの畝にかぶさるように
横枝を伸ばすジュリア


ペネロペもまた、台風の2週間後の

新芽に始まり、返り咲きの可愛らしい蕾を付け始めました。

開花は、もう少し先のようです。



11月19日 ペネロペの新しい葉



11月18日 ペネロペの蕾



11月23日 ペネロペの蕾


ところで、「オーガニック・ローズ」、

「有機栽培の薔薇」などという言葉をよく耳にします。

この場合の「オーガニック」と「有機栽培」とは

同じ意味として使われています。

一般的には、「農薬や化学肥料を使わず、有機肥料により

栽培される薔薇」を指しています。


それでは、炭素循環農法の薔薇は、

一般的にいうところの有機栽培の薔薇なのかというと

それは、違います。




ジュリア 11月9日



炭素循環農法の薔薇は、基本的に、

堆肥にしろ、草木灰にしろ、マメ科植物にしろ、

生物由来の資材ではあっても、

肥料と名のつくものは、使いません。
 
その代わりとして、栄養分を蓄え、

都合の良いことに、水分が抜けた秋の新鮮な落ち葉、

ほんの僅かの米糠を使い、ある程度発酵させ、

分解しやすいよう調整された剪定枝などのチップ、

その辺の雑草を含む、登熟したイネ科植物など、

身近なところから手に入るCN比40%以上の高炭素資材を、

薔薇に直接与える肥料としてではなく、薔薇と共生する

地下の微生物をいかすためのエサとして、

空気が入るよう、土に浅く混ぜるだけです。


この作業を大体のところ、秋に行うのは、

自然の樹木が秋に落葉するのを見れば、分かりますね。

ただただ、自然の法則に従ってのことなのです。


「効率」を考えるのなら、転換初期には、

微生物のエサとして最適なキノコ廃菌床を、

土がある程度出来てきてからは、永年作物の薔薇ですから、

長持ちのする発酵チップの使用をそれぞれお勧めします。






ジュリア 11月19日




キノコ廃菌床は、農協の森林組合に相談すれば、

手に入りやすいです。キノコ農家にとっては、

産業廃棄物ですから、理由を説明してお願いすれば、

手間であるには違いありませんが、喜んで

提供してくれるでしょう。


発酵チップは、我が家の場合、

横浜動物の森公園緑のリサイクルプラントで、

有料で手に入れます。

有料ですが、肥料と比べれば、ずっと安価です。



緑のリサイクルプラントは、横浜市の公園や街路樹の

維持剪定作業から出された剪定枝、刈草等をリサイクルした

堆肥「はまっ子ユーキ」の製造、販売をしています。

ですから、完熟堆肥になってしまう前の段階、

適当に発酵したチップを特にお願いして求めています。

日本各地に同じようなプラントがあるはずですから、

ネットで調べてみて下さい。


肥料と名のつくものは一切使わずに、

ひたすら身近で得られる高炭素資材を畑に投入した結果、

野生の力を徐々に取戻し、

健康に育ったジュリアやペネロペに、

農薬を使うような事態は、まず、起こらないのだと

大きく育った二株の薔薇をつくづくと眺めながら、

実感する昨今です。




横浜動物の森緑のリサイクルプラントの情報は、
以下にあります。袋持参で取りに行きます。職員の数が少ないので、
業務の邪魔にならないよう、なるべく、メイルかFAXで問い合わせてください。
民間の産業廃棄物処理業者からだと、ほぼ無料で手に入るようですが、
農家と異なり、家庭菜園の場合、少量なので、こちらから車で
引き取りに行くことになるでしょう。