2018年10月31日水曜日

白菜とキャベツに虫食いの痕










11月を目前にした最近の畑の楽しみは、

畝を覆うチップを突き抜け、空に強く伸びる

ニンニクの新芽を見ることです。

見ているだけで、さわやかな緑の活力が身体全体に伝わり、

気持ちがワクワクしてきます。









同じ時期、畑のあちらこちらには、

カタバミの小さく黄色い花が咲き、

私は、青杜松色(あおねずいろ)の小さなヤマトシジミが

ひらひらと飛び交う中で、秋の作業をしています。

カタバミは、ヤマトシジミの幼虫の食草になりますから、

成虫は、葉の裏に小さな卵を産み付けるため、

作物と雑草とが共生する、我が家の畑を訪れるのです。







眺めて美しく、食べて美味しいサニーレタスは、

根が浅く、無施肥土壌への転換初期から

収穫は、難しくなかったように思います。

しかし、今年の秋の生育には、

改めて目を見張る素晴らしさがあります。

まるで大輪の花が畑でピカピカ輝いているようと言えば、

分かってもらえるでしょうか。


5、6枚でサラダボール一杯には十分すぎるほどの量、

直径40センチを優に超えるレタスの外葉から

根を傷つけないようにそっと切り剥がし、持ち帰ります。

よくスーパーで見かける薄っぺらの紙のようなレタスとは

全くの別の物、

強靭とも言える肉厚の葉にしっかりとした凹凸の造形美、

歯ごたえのある噛み心地、香りもします。







念のため、このレタスをキャベツ、白菜の

コンパニオンプランツとして混植しますが、

その白菜、キャベツは、園芸店で求める施肥栽培の苗です。

ですから、それらを畑に移植すると、

無施肥の環境に馴染むまでの間に一旦弱るのでしょう、

弱った苗には例外なく、虫食いが発生します。

しかし、多少は虫に食われてもといった考え方でないと、

忙しい主婦の畑仕事は続きませんし、

地上と地下の養分循環が円滑に行われるようになれば、

その虫食いもコロッと収まります。

そして、実のところ、施肥で育った幼苗の、

無施肥土壌への順応は、思うより意外と早く、

収穫まで問題が出ないのです。



キャベツの外葉2周ほどに移植の際の虫食い跡が見られます。





白菜にもキャベツと同じ現象が見られます。



同じ虫食いでも、

転換が進んだ炭素循環農法の土壌に生じるこの種のそれは、

慣行施肥栽培におけるいわゆる連作由来の虫食いとは、

見た目ではっきり異なり、区別することが出来ます。


下の写真は、同じ菜園内の別区画、たい肥主体、

追肥に化学肥料を使用するIさんの白菜です。

Iさんは、連作障害を防ぐ為にと客土を行いますが、

根が土の深くに伸びていく成育後期になればなるほど、

中心部の葉の虫食いが酷くなります。




落ち葉と馬糞堆肥を混ぜ、半年間かけて完熟させた堆肥主体のIさんの白菜。
市民農園に熱心に通い始めて12年たち、畝の白菜全てがこのような酷い状態に。




ところで、やはり同じ菜園内、入口近くのAさんの区画は、

Iさんと同様の慣行施肥栽培を続けているにもかかわらず、

今の所、白菜、キャベツに酷い虫食いは見られません。




Aさんの畑の白菜とキャベツ。




実は、Aさんの区画では、

虫食いが認められると、早い時期に一度だけ、

T社のスプレー式殺虫剤を使用します。

肥料は、野菜の生育状況を観察しながら、

できるだけ少な目に施します。

そして、一番大切なこととして、Aさんは、

「土を深く掘れば、大丈夫。」と強く考えています。


知ってか知らずか分かりませんが、

Aさんは、作土の下、施肥により生じた弊害、硬盤層を

スコップで壊しているのかも知れません


虫が作物を食べているのを見ると、今でも習慣的に、

「虫害」という言葉が口から出そうになりますが、

実際は、その真逆、

不健康な作物を、食べることにより排除してくれる虫達は、

地球生命体の免疫機構の一部として機能する益虫、

ありがたい存在なのですね。


追記

炭素循環農法HPにも、植え付けの際に生じた多少の虫食い痕が外葉に残る実例が
挙げられています。特に明記されていないので、無施肥で育った苗にも同様の虫食い現象が
起こる可能性があるのかもしれません。